化粧品・日用品業界の次なるトレンドと話題の「クリーンビューティー」
近年、主に国内外の化粧品・日用品の領域で目にするようになった「クリーンビューティー」。
広告や雑誌の特集で目にしたことがある方も多いかと思います。
実はクリーンビューティーの基準は定められていない
さて、何をもって「クリーンビューティー」と呼ぶのでしょうか?
実は、ここにについては明確な定義が定められているわけではありません。一般的にいえる基準としては、
①身体に害のある成分を使用していない
②環境や動物に配慮されている
③製造や処方に透明性を持っている
これらの基準を満たして開発された製品のことを「クリーンビューティーな」製品と呼びます。「クルエルティーフリー」や「ヴィーガンコスメ」などは、クリーンビューティーという大きな概念に包含されます。
クリーンビューティーの機運の高まり
では、なぜクリーンビューティーが注目されるようになったのでしょうか?
①消費者ニーズの変化
ひとつには消費者ニーズの変化が挙げられます。
世界的な「ウェルネス」への機運の高まりは、ジムに行き体型管理をして、食事にも気を遣うような人の数を増やしました。健康やヘルスケアに対する意識が高まることにより、日々使用する化粧品や日用品にも余計であったり害がある成分が含まれていない「クリーン」さを求めるようになっています。
②他者への意識の変化
他には、新型コロナウイルスの感染拡大、ロックダウン、外出自粛といった今までなかった世界に直面する中で、「自分だけでなく、他者や環境に意識が向くようになった」ことが挙げられるかと思います。
それまで化粧品は「私さえきれいになれば」という個人が消費単位の基本だったが、コロナ以降、消毒液やハンドソープなどの消費単位が「私プラス誰か」に変わったと指摘する。さらに、この「誰か」というのは、家族や友人だけでなく、地球環境などにも及ぶ。
毎日新聞「コスメのトレンドは「私プラス誰か」 化粧品の常識変えるコロナとデジタル化」 2020年10月26日
アライドアーキテクツ株式会社の調査によると、約34%もの人々が、新型コロナウイルスの感染拡大前後でSNSの利用時間が「すごく増えた」「増えた」と回答しています。
SNSを通じて、これまで自分には大きな関係がないと思っていた海外の環境問題等を身近に感じることで、環境への意識が高まっているのも一因といえるかもしれません。
続々登場するクリーンビューティーブランド
日本でも続々とクリーンビューティーブランドが立ち上がっています。
人気ファッションブランド『セルフポートレイト』の創業メンバーでもある平野愛氏が立ち上げたヴィーガンコスメのブランドです。株式会社アカツキやEast Ventures、株式会社丸井グループの子会社であるD2C&Co.から1億円の出資を受けています。
外資系消費材メーカーや化粧品ブランド『AGILE COSMETICS PROJECT』で経験を積んだ澤田実加氏が立ち上げたクルエルティーフリーブランドです。
FSC認証資材(適切に管理された森林に由来する製品であることが保証された製品)の採用を進めていくほか、9種類の原料(1. シリコン 2. エタノール 3. 鉱物油 4. 石油系界面活性剤 5. パラベン 6. 紫外線吸収剤 7. 合成着色料 8. 7大アレルゲン由来成分 9. 動物由来原料)を排除していくことを製品開発ポリシーとしています。
まだまだ業界では珍しい、メンズコスメ×クリーンビューティーのブランドも立ち上がっています。
今後のクリーンビューティー市場
まだまだ数が多いとは言えないクリーンビューティーブランドですが、今後間違いなく増えていくと思います。一方で、ここには課題もあります。
「何がクリーンであるのか?」
「ブランドが謳うクリーンビューティーはどのように担保されているのか?」
「クリーンビューティーでないブランドは『良くないブランド』であるのか?」
消費者としては、これらを常に考えながら商品を選択する必要があります。ブランドもポジションを明確にし、正しく消費者に訴求していく必要がありそうです。