THC(テトラヒドロカンナビノール)とは?
「カンナビノイド」のひとつ
THC(テトラヒドロカンナビノール)は、大麻草から抽出される化学物質である「カンナビノイド」の一つです。
なお、カンナビノイドには現在発見されているだけでも104種類あり、CBD(カンナビジオール)もこのうちのひとつです。
THCの効果
THCには向精神作用があり、私たちが一般的に「大麻」と聞いて持つイメージのように、人を「ハイ」にさせる効果を持っています。そのため、日本をはじめ多くの国ではTHCは規制されています。
一方で、近年注目が集まっている「医療大麻」は主にこのTHCによって効果を感じることができるものです。
THCの薬理効果には、
・陶酔効果
・リラクゼーション効果
・睡眠導入効果
・食欲覚醒剤
・鎮痛剤
・制吐剤
・筋弛緩剤
などがあり、アメリカの多くの州ではTHCを含む医療用大麻の利用が許可されています。
ちなみにCBDには精神作用はなく、正規に輸入されたものは日本でも利用可能です。
日本におけるTHC規制
実は法律では、大麻草由来のTHCは規制されていない
実は、大麻草由来のTHCを規制する法律はありません。
大麻取締法では大麻の所持・栽培・譲渡などが禁止されていますが、禁止されているのは大麻の「成分」ではなく「部位」です。
この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。
大麻取締法
大麻草の茎と種以外、つまり花や葉などから抽出された成分は「大麻に該当する」とされ、規制されているのです。
これがどのような論理かというと、大麻草の茎と種にはTHCが含まれていないとされています。そのため、「THCが含まれているということは、その成分が茎と種から抽出されたものであることが確認できない」という逆説を取る形です。
なお、化学合成されたTHCに関しては「麻薬及び向精神薬取締法」にて規制されています。
しかし、実際の運用は別
しかし、大麻草由来のTHCが規制されていない=日本で輸入・利用できるというわけではありません。
令和3年1月20日に行われた第1回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の議事録、および2月25日に行われた第2回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の資料(下図)によると、
実際の運用では、「部位の判断」を「THCが含有されているか否かで行っている」
という趣旨の記載があります。
つまり、法律と実際の運用が異なってるということです。運用上は、大麻草由来のTHCは、化学合成由来のTHCと同様に日本において規制されています。
我々CBD事業者が海外からCBD原料を輸入する際にも、ロットごとに成分分析書を提出し、「THCがLOD(Limit Of Detection)で非検出であること」を証明することが求められています。
まとめ – THCは日本で規制されています
結論として、精神作用のあるTHCは日本では規制されています。日本では利用することができません。
今後の見通しについても、現時点では不明という形になります。なお、この記事の趣旨は、違法行為を推奨することではございません。